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2010年5月26日 『日経コンピュータ』 (2010.5.26号 P66-70) 記事要約

  強い企業の情報化戦略 / 日産自動車
                アウトソーシングを「チェンジ」 中期情報化計画を総仕上げ

日産自動車は2010年3月期決算で、2期ぶりに最終黒字に転換させた。カルロス·ゴーン社長は5月12日の決算説明会で完全復活を宣言。業績回復には、2006年4月から進めてきた中期情報化計画「BEST」の貢献も見逃せない。同社は現在、BESTの総仕上げに相当する情報化施策「Change 2012」に取り組んでいる。

 

「We had terminated the contract with IBM, it's true(米IBMとの長期アウトソーシング契約が終了したのは事実だ)」。日産自動車のカルロス·ゴーン社長は、決算説明会で本誌記者の問いにこう回答した。

「情報システムに関するアウトソーシング契約の競争入札を実施した。この結果、複数のITベンチャーにシステム関連業務を発注することに決めた」。ゴーン社長の発言を受け、グローバル情報システム本部を統括するアンディ·パーマー常務はこう続けた。

日産の2010年3月期の連結決算の営業利益は3116億円である。2009年3月期は1379億円の営業赤字だった。2011年3月期は、売上高8兆2000億円、営業利益3500億円を見込む。今年末に発売する電磁自動車(EV)「リーフ」など、今年度は計10車種を全世界に投入する計画だ。今後の成長を下支えする情報化も、大きな転換期を迎えている。

 

マルチソーシングに転換

アウトソーシング契約の見直しは、2009年4月から進めている情報化施策「Change 2012」に基づくものである。Change 2012は、中期情報化計画「BEST」で取り組んでいる重点テーマの一つ、「Selective Sourcing」(ITベンチャーとの関係の見直し)」の総仕上げに相当する。

Change 2012の取り組みは、大きく二つある。アウトソーシング契約の見直しと、内製力を強化するためのシステム部員のスキル強化である。

アウトソーシング契約の見直しについては、複数のITベンダーに委託する「マルチソーシング」体制に切り替える。特定のITベンダーに多くのシステム関連業務を委託するのではなく、システムの仕事内容に応じて、適材適所で複数のITベンダーに任せる。

ITベンダー1社と長期的にフルアウトソーシング契約を結ぶと、次第に依存度が高まり、システム部門の情報化スキルが低下する、という問題が生じやすい。こうした自体を回避するため、日産はITベンダーとの付き合い方を変更する。元々、ゴーン社長は1999年にIBMとの長期アウトソーシング契約を、渋々締結したという経緯がある。契約満了を機に見直しに動いた。

 

上流工程のスキルを向上

Change 2012では、ビジネス変化に迅速に対応できる情報化施策を進められるように、システム部員のスキル向上を目指す。

システム部員が身に付けるべきスキルを明確にするため、システム部員とITベンダーが担当する業務を区分した。「システム部員には、ビジネス価値向上に貢献する、新規システムの企画や要件定義など上流工程に専念させる」。行徳セルソ執行役員CIO(最高情報責任者)グローバル情報システム本部長はこう明言する。システム部員は、EVなど戦略的事業に必要な新規システムの企画や、既存システムの再構築プランなどを練ることに注力する。

一方、既存システムの運用·保守は、外部のITベンダーに任せる。ただし、丸投げするわけではない。既存システムの運用·保守費用など、事業を継続させるために発生する費用である「ラン·ザ·ビジネス」を最適化するためのプランを、システム部員はITベンダーと共同で考案する。

「いずれにせよ、システム部員は、利用部門に提案できる力が求められる。利用部門に頼まれたことだけを進める受け身の姿勢では、システム部門は、戦略的に重要なポジションと思われない」。行徳CIOはこう気を引き締める。

実務を通じて、手足を動かし、汗をかきながら、上流工程のスキルを磨く。これに加えて、教育研修プログラムも強化する。

例えば、インドのチェンナイ市にルノーと共同で作った「テクノロジー&ビジネスセンター」での研修がそうだ。同センターに両社のシステム部員を集め、インドのITベンダーから、要件定義や開発などの手法を学ばせている。

このほか、入社3年目のシステム部員を、米マイクロソフトなどの本社に派遣する教育プログラムもある。最先端の技術や製品を学ばせ、システム企画·開発力の強化に役立てる。

「海外の現地で、外国人の優秀なITプロフェッショナルと議論することを通じて、専門知識だけでなく、国際感覚を磨かせる」(行徳CIO)日産のシステム部員は、海外のITベンダーと交渉したり、国際的な共同プロジェクトをマネジメントしたりする力も求められているわけだ。

 

コスト削減は計画以上の成果

Change 2012を進めている日産。2006年から4年にわたり続けてきたBESTは、どれだけの成果を上げているのだろうか。

「BESTを通じて、特にコストの面では、当初の目標以上の成果を出せた」。行徳CIOは自信を見せる。

日産は、BESTの具体的な目標として、情報化支出の金額を2011年3月までに2005年度に比べて14%削減することを目標に掲げていた。この目標を、2008年3月に前倒しして達成した。

これを受け、2008年5月にゴーン社長は、神奈川県厚木市のグローバル情報システム部門を訪問。目標達成を祝い、システム部員をねぎらった。

BESTには、「Selective Sourcing」のほかに重要なテーマがある。「Business Alignment(利用部門との関係強化)」「Enterprise Architecture(情報システムの最適化や標準化)」「Technology Simplification(導入する技術やソフトウェア/ハードウェアの簡素化と標準化)」というテーマに沿って、日産は情報化を進めてきた。

すでに世界の業務アプリケーションの標準化や、サーバー/ストレージの統合を実現した。標準となるプロジェクトマネジメント方法も導入している。さらに、米ヴイエムウェア製の仮想化ソフトを使ってWindowsベースの共通プラットフォームを構築。業務アプリケーションの開発期間の短縮も図っている。

今年6月には、ファイル送信システムを全世界で標準化する。海外の部品メーカーとCAD(コンピュータによる設計)などのエンジニアリング系データをやりとりするためのものだ。

データ送信サービス事業者のイーパーセルのSaaS(ソフトウェア·アズ·ア·サービス)である「e·パーセル電子宅配便」を採用。通信環境にかかわらず、数百MBの大容量ファイルを確実に送れるようにするなど、国内外の利用部門の使い勝手を改善する。従来は、自社サーバーからファイルをダウンロードするFTP(ファイル転送プロトコル)システムを利用していた。

(取材·文 中井奨)

 

 

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