e・パーセル電子宅配便 - イーパーセル株式会社

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2012年8月17日 『日本経済新聞(2面)/ 電子版この1本』

2012年8月16日 『日本経済新聞 - 電子版 / ITトレンド』 記事要約

 

グーグルにも勝利
        IT特許訴訟 日本のベンチャー快進撃 - 電子データ配信のイーパーセル

 「米グーグルや米ヤフーといった海外の大手IT(情報技術)企業を、特許侵害で提訴しているところです」。最初にこう聞いたときは正直、本当なのかと耳を疑った。発言の主が、無名の国産IT(情報技術)ベンチャーの社長だったからだ。

 

米国企業との特許訴訟で快進撃を続ける日本のITベンチャー企業がある。電子データ配信サービスのイーパーセル(東京・千代田、北野譲治社長)だ。世界の巨大IT関連企業13社を相手取った訴訟で、7月に米グーグルと和解し、ライセンス契約を勝ち取った。これまでに6社と和解が成立し、世界的な注目を集め始めた。時価総額世界首位の米アップルにも照準を定める。

「本命はアップル」。イーパーセルの北野社長は次なる標的を打ち明ける。同社は従業員8人の小さな会社だが「世界標準の技術力を証明したい」と特許訴訟の狙いを話す。

イーパーセルは昨年3月から4月にかけ、米国テキサス州の裁判所で13社を相手に特許侵害訴訟を起こした。対象企業はグーグル、米ヤフーのほか、AT&T、ベライゾン・コミュニケーションズなど軒並み世界を代表するIT企業や米国の通信大手。今年4月までにベライゾンや携帯端末「ブラックベリー」を展開するカナダのリサーチ・イン・モーション(RIM)など5社と和解し、ライセンス契約を結んだ。

そして7月25日、グーグルがついに白旗を揚げた。イーパーセルの狙いは損害賠償請求ではないため、事実上の勝利である。RIMとベライゾン、グーグル以外の3社の名前は契約などの関係上、公表できないという。

 

イーパーセル(株)が特許侵害で提訴した13社
アカマイ·テクノロジーズ, AOL, AT&Tサービス, CDネットワークス, グローバルスケイプ, グーグル,
ライムライト·ネットワークス, PEER1ネットワーク, リサーチ·イン·モーション, サヴィス,
ベライゾン·コミュニケーションズ, ヤフー!, イエローページズ·ドットコム

 

イーパーセルが特許侵害として訴えた自社技術は「通信が途切れてもデータを途中から再送信し、確実に届ける仕組み」など7件。いずれも現在の通信·ネットサービスには欠かせない技術ばかりだ。例えば「自分あてにデータが届いたことを画面上で知らせる仕組み」は、メールの受信やソフトウエアの更新情報などで日常的に使われている。また「ネット上で個人の嗜好(しこう)を収集・解析する仕組み」はグーグルが強みを持つ検索連動型広告システムそのものだ。

イーパーセルはこうした技術をもとに企業向けの大容量データ配信サービス「e·パーセル電子宅配便」を展開している。日産自動車やコマツなどグローバル企業を中心に約630社の顧客を持つ。顧客企業は3次元CAD(コンピューターによる設計)データなど大容量ファイルをネットを通じて海外工場に送信する際などにイーパーセルのサービスを活用する

機密性の高い重要データを通信環境の悪い新興国にも送信できる同社の「電子宅配便」は、知る人ぞ知るいぶし銀の技術。しかし売上高が年間数億円というイーパーセルの技術がなぜ、世界のIT大手を揺るがしているのだろうか。

理由は同社の生い立ちにある。イーパーセルは1996年、米ボストンで設立された。創業者は三菱電機出身でマサチューセッツ工科大学に留学した小畑浩志氏。インターネットビジネスの先を見据えたアイデアマンの小畑氏の呼びかけで、世界各国の頭脳が集まった。プログラミングや数学の世界大会出場者、チェスの世界大会のファイナリストなどそうそうたるメンバーだったという。彼らは草創期のインターネット技術開発にのめり込み、当時はまだビジネスにならなかった技術を次々と生み出した。

2001年に日本法人を立ち上げたころはITバブル真っ盛り。「当時は株式を公開すれば100億円近くの時価総額があるといわれた」(北野社長)。北野社長自身は当時、保険代理店業を営んでいたが知人を通じてイーパーセルを知り、日本法人立ち上げとともに企画部長として入社した。米イーパーセルはその後、開発資金の増大などで経営が悪化し、日本法人に特許と事業を継承して市場から撤退。2004年に就任した北野社長が日本で事業を再建した。

事業が安定してくる中で北野社長が強く感じたのはベンチャー企業の壁だ。「気がつけば大手企業に市場を押さえられ、いずれはつぶされるか取り込まれてしまう」(北野社長)。特許訴訟という「伝家の宝刀」を抜いたのも「争って有効性を認められなければ知的資産として価値がない」との思いからだ。和解に伴うライセンス収入は1社につき数千万円規模とみられ、大きな収入源にはならないもよう。しかし知名度向上とともに事業拡大のチャンスは確実に広がる。

特許訴訟での快進撃で「イーパーセルを買収したい」という打診が相次ぐ。中には名前を出せば誰もが知っている巨大IT企業も。しかし北野社長は「売るつもりは全くない」。

ゲーム産業などアイデア勝負のベンチャー企業が日本では多いが、技術で世界を相手にするベンチャー企業はなかなか育たない。海外でも技術を大手に高く売って店じまいするベンチャー企業が増えている。イーパーセルに続く「ドン·キホーテ」の登場が待ち望まれる。

 

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