e・パーセル電子宅配便 - イーパーセル株式会社

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2012年11月15日 『日経産業新聞』(5面) 記事要約

  「異才の横顔」
                             ~ 配信技術 世界に証明 - 特許訴訟で知名度向上 ~

企業向け電子データ配信サービスのイーパーセル(東京都千代田区)は、米国大手IT(情報技術)企業を相手取った特許訴訟で連戦連勝を続けるまれな企業だ。社員わずか8人の会社を率いるのは元保険ブローカーという経歴を持つ社長の北野譲治。米グーグルともライセンス契約を勝ち取った北野を動かすのは技術への誇りとベンチャー企業の意地だ。

グーグル・ヤフー・AT&Tサービス...。イーパーセルは昨年春に世界的なIT企業13社を相手取り、米国で特許侵害訴訟を起こした。今年9月までにグーグルなど10社と和解が成立し、ライセンス契約を取り付けた。「ライセンス収入は訴訟費用でほとんど消える。それより当社が持つ世界標準の技術を証明したかった」(北野)

イーパーセルは企業向けの大容量データ配信サービス「e・パーセル電子宅配便」を手掛ける。通信環境の悪い新興国の工場にも設計データを確実に届ける技術だ。1996年に三菱電機のOBが米国で創業。世界各国の頭脳を集め、ネット配信の基本特許を次々と押さえた。

北野は2000年、日本法人の立ち上げの際に参加した。本家が宮大工で親類に大工の多い北野は早大の建築学科で学んだが「建築は自分に向いていない」と企業を決意。3年後の独立を条件とする大東京火災海上保険(現あいおいニッセイ同和損保)の企業家育成制度に応募し、契約社員として働いた。

ところが、営業成績が同期トップになってしまい、「正社員になってくれ」と引き留められた。契約を2年間延長した後、91年に保険代理店を設立。工場の地震保険などをオーダーメード商品を作る保険ブローカーとして社員6人を養った。

事業が順風満帆だった00年夏、知人の紹介で出会ったイーパーセル創業者に誘われて入社。畑違いのIT業界に飛び込む不安より同社の技術への興味が勝った。保険代理店を廃業し、企画部長として日本法人の立ち上げに奔走した。

当時は、ITバブル真っ盛り。日本法人は大手証券会社や外資系IT企業の出身者が集まり、株式上場を目指していた。時価総額は100億円といわれた。しかし開発費の増大で米国本社の経営が悪化。日本法人に事業と特許を移管して米国から撤退した。

創業メンバーが去る中、04年に社長に就任した北野の役割は事業の立て直しだった。上場は見送り、顧客企業の開拓に地道にあたった。当初はほとんどが門前払い。「ベンチャー企業というだけで話も聞いてくれない」(北野)という日々が続いた。

そんな時、知人を通じて知り合った大手自動車会社の首脳が、イーパーセルの技術に興味を持ってくれた。3次元CAD(コンピュータによる設計)データを海外工場に送る技術として採用が決まった。その後は、口コミで徐々に顧客が広がっていった。現在は日産自動車やコマツ、ホンダなど顧客企業は600社を超える。

イーパーセルが保有する特許は「自分あてにデータが届いたことを画面で知らせる仕組み」など、インターネットで一般に使われる基礎的な技術。これまでも「特許を買いたい」という申し出が何度もあり、売却してもおかしくはなかった。

北野はあえて特許訴訟を選ぶことで、自社の技術を世界に認めてもらう道を選んだ。「米国と違って日本ではベンチャーの技術がなかなか評価されない」(北野)ことが理由だ。グーグルに「勝利」した今、名だたる大手企業がこぞってイーパーセルの門をたたくなど、風向きは変わり始めている。

(取材·文 磯貝高行)

 

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