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2014年9月1日 『図書』 (岩波書店 2014.9月号 巻末ⅲ) 記事要約

  ビジネスネスリーダーが薦める岩波文庫

岩波文庫、今秋のキャンペーンは、ビジネスの最前線で活躍されているリーダーの皆さんにお薦めの本を選んでいただきました。経済のみならず、哲学や歴史、文学など幅広いジャンルから、人生を、ビジネスの世界を生き抜くのに必読の古典が、特に若い読者のために挙げられています。これらの書目を中心としたフェアを11月上旬より全国協力書店にて順次開催いたします。店頭でぜひ手に取っていただき、「古典の魅力」を味わっていただければ幸いです。(中略)

 

イーパーセル株式会社 代表取締役社長 北野譲治

今回、岩波文庫の中から若い人に読んで貰いたい文庫を数冊選びその紹介を、ということで、文筆を生業としない身でいささか躊躇したが、岩波書店の岡本社長から是非にとの励ましをいただき、心に残る二冊ほどを推薦したい。

最初の一冊は、ヘルマン・ヘッセの『デミアン』、もう一冊は、ドストエーフスキイの『カラマーゾフの兄弟』。確か、当時、中学生であったが、東京の大学に通っていた尊敬する従兄弟から、何冊か「読んでみろ」と紹介されて手にしたうちの二冊であったと記憶している。

ヘルマン・ヘッセはドイツロマン主義を代表する終わりの方の作家のひとり。『デミアン』は彼の代表的な作品の一つだが、純真な少年が多感な成長期をへて大人に成長するなかで、「神と悪魔」、あるいは「善と悪」を意識する過程が、みずみずしい描写で描かれていたと記憶している。今、岩波文庫の一冊を手にして、 十五歳の当時に受けた感慨を、半白を過ぎた今の自分がもう一度共有することができるだろうか、と不安がよぎる。もう一つの代表的な作品の『車輪の下』とも共通するこの作品のたたずまいは、もしかしたら若い時にしか感ずることができないようなある種の純粋さと関係しているような気がする。

二冊目は、有名なロシアの大文豪の代表作品。当時、まだ幼かった自分が、この希代の大作をどれだけ理解して味わうことができたのかというと、甚だ心許ない。今、もう一度読むと、随分と異なった感慨があるのかも知れない。しかし、そびえ立つような大作の一端なりとも触れてみたいという若気の至りで、ともかくもページをめくったのだと思う。敬虔なキリスト教信仰に根ざした伝統的な価値観が、産業革命以降、新興勢力の台頭で大きく揺らごうとしている当時のロシア社会。その時代を背景として、大変に異なった、しかし、放蕩な父親の性格を色濃く受けつぐ三人の兄弟が、精緻な筆致で描かれた作品。今となっては、細部はもちろん覚えていない。にもかかわらず、そうした描写を通じて浮き彫りにされる人間性の本質と、そこからの救済への祈るような憧憬から受けた強い印象が、当時の自分自身の様々な記憶とともに思い起こされて、一冊に加えさせていただいた。

 

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