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2012年10月2日 『ダイヤモンド オンライン』記事要約

    第5回 ボーダレスに生きる日本人企業家の<人生が動き出す世界の眺めかた>
                                    イーパーセル株式会社・代表取締役社長 北野譲治(きたの・じょうじ)

        グーグルに勝利した男 - 第3回 (全3回)
                      「あの時、この言葉に出会っていなければ」
                        僕の人生をつくった言葉

 

 特別掲載号のはしがき

前回掲載号で僕のパートは終わるハズだった。

でも、どうしても皆さんに伝えておきたいことがあった。

世の中には「偉人」と呼ばれる人たちがいる。前々回(9月4日)と前回(9月18日)の記事にも書いたように、僕は自分の人生を支える「背骨」のようなものを、そうした方々の言葉を通して得てきた。どの言葉も、「あの時、出会っていなければ……」と思うと、空恐ろしさを覚えるような貴重なものばかりだ。

「特例」として掲載する今回の記事では、僕が人生で出会った「最高の言葉」の数々を皆さんに伝えていきたい。人の出会いは一期一会だが、言葉との出会いもまたそうであると思うから。

 

 さめることのない大きな「夢」を見たい

夢はさめる。さめるから、夢なのかもしれない。

どうせ見るなら、さめて後味の悪い夢よりも、もう一度見たいと思える夢のほうがいいに決まっている。更に願うなら、さめることのない大きな夢を見続けていたい。

夢というと、儚(はかな)さをイメージしてしまう。

芭蕉が詠った「夏草や……(注1)」、信長が好んで舞った「敦盛」の一節(注2)や秀吉の辞世の句(注3)より発せられる「夢」という言葉からは、それが強く伝わってくる。

(注1) 夏草や 兵(つわもの)どもが 夢の跡(あと)

(注2) 人間五十年、化天(げてん)のうちを比ぶれば、夢幻の如くなり

(注3) 露と落ち 露と消えにし わが身かな 難波(なにわ)のことも 夢のまた夢

でも、仕事をする者が「僕には夢がある」と言う時の「夢」には、「儚さ」とは真逆の「揺るぎなさ」がなくてはならない。「こんな風になりたいなぁ」とか「こんなコトやりたいなぁ」ではなく、僕は、「こうありたい」もしくは「こうしたい」と明確に描くべきだ。

僕が自分の夢をはっきり意識したのは、前回の記事に書いた通り、37歳の時だった。「〈イーパーセル〉の技術で世界を変える」、その夢を全力で追いかけることを決心した。そして、心をこめて打ち込むほどに、さめることのない大きな夢へと成長した。

 

 人は誰のために仕事をするのか

―人は、なぜ、仕事をするのか?

何と答える?

夢と希望を抱く就活中の学生とビジネスキャリアを積んだ社会人では、多少は回答が異なるだろう。でも、おそらく共通してダントツに多い回答は、「生活のため」となるに違いない。ごもっともだ。反論の余地なし。

では、もう一歩踏み込んで聞いてみたい。

―あなたは誰のために仕事をするのか?

さて、どう答える?

僕の関心は、この一事にある。

「誰のため」を「何のため」と言い換えても結構である。自分のため、家族のため、会社の発展のため、社会に貢献するため、等々いろんな意見があっていい。勿論、多様な価値観があっていい訳だから、どれが正解で、どれが不正解、というものでもない。でも、同じやるなら、僕らは一流を目指し、最高の結果を求めようではないか。

ここで、自分自身の来し方を振り返ってみたい。初めての仕事は、学生時代の生活維持のためのアルバイト。その後、社会人となってからは、裕福な暮らしをしたいがための仕事。起業した目的もお金を儲けること。決して間違っちゃいなかったが、お金が目的の仕事のあり様に大きな違和感を覚えた。

以来、随分と長いあいだこの違和感と対峙してきた。既に語った通り、〈イーパーセル〉との出会いが、この違和感を消し去ってくれた。〈イーパーセル〉の技術で世界を変える夢は、さめることがないまま、「社会に貢献したい」という揺ぎない志へと姿を変えた。そして、今がある。

 

 「利他のこころ」とは、「無私」とは、何か?

―自分のことは後まわしにしてでも、他人のために社会のために尽くしたい。格好いい言葉だ。決め付けてはいけないが、格好がいいからこそ、誰だって「そうありたい」と本心では思っているに違いない。

8年くらい前だっただろうか、京都の金閣・鹿苑寺(ろくおんじ)執事長(当時は親寺の相国寺派宗務総長だった)をなさっていた名物和尚(江上泰山老師)を、足利尊氏の墓所として名高い「等持院(とうじいん)」近くのご自坊に訪ねた。

年に数度の恒例の季節のご挨拶だった。奥様が、近所の和菓子屋の売り切れ御免の珍しい栗鹿の子とお抹茶でもてなして下さった。あっさりした和栗の甘みとお茶の渋みが抜群の組み合わせだった。京都を訪ねる度、いつも感心するが、一つひとつにおもてなしの心が行き届いている。

この席で、老師様から、「利他(りた)」という言葉を教わった。初めて耳にする言葉だった。「利己(りこ)」の反対語と言えば言葉そのものの理解は可能だ。そして、「利他のこころ」とか「利他業」について、老師様のご高説を拝聴した。

読んで字の如く、他を利する、そう「他人の利益を重んじる」考えをいう。悟りの境地を経験していない所為だろうか、僕には少し哲学的で難しく感じられたが、「他人の幸せを願うピュアな心がけが、ひいては自分に幸せをもたらす」と理解すれば、「なるほどな」と合点がいく。

「他人のために社会のために尽くす」。そういう心を持って仕事する時、肝心なのは、そこに自分が「有る」か「無い」か、だ。そこに不要な自分があると、目の前の小さなことに捕らわれてしまって、人は必ず本質を見誤る。つまり、大切なのは、そこに自分がないこと。即ち、それは「無私」。自分をなくすことができるかどうか、そこにすべてが懸かっている。

「利他のこころ」を養い、「無私」を磨く、そこに皆さんの答えを探す大きなヒントが眠っていると信じる。言葉で言うほど簡単じゃないことは分かっているが、この言葉に触れた以降は、少しでいいから、これらを意識して一日一日を過ごしてみたらどうだろうか。違った世界が見えてくるはずだ。

 

 「夢」を叶える覚悟

大きな夢を実現しようと仕事に向き合えば、いろんな困難に直面する。だから、ブレない覚悟が大事だ。覚悟とは、これから立ち向かう困難に対する「心構え」といっていい。僕も今の仕事では、幾多の困難を乗り越えてきた。「さすがに今度ばかりは厳しいかも……」と思い悩んだことが幾度もあった。

ビジネスの世界では、次の一手が止まった瞬間に負けが決まる訳だから、二の矢、三の矢を射続けることができるかどうかが勝敗を決する。僕の場合、挫けず頑張り続けるうちに、奇跡が起きた。いや、正確に言い直そう。何かが、奇跡を起こした。奇跡を起こした原動力は、一体何だったのだろうか。

それは、仕事に対する覚悟であったと思っている。その覚悟を授ける言葉があるので、次の二つを皆さんにプレゼントしたい。二つとも僕が若い頃からずっと心に刻んで接してきた言葉だ。

一つは「吹毛常磨」と書いて、「すいもうつねにます」と読ませる。鳥の羽がふわりと落ちただけで、真っ二つに切れるほどの切れ味を誇る吹毛剣と呼ばれる伝説の剣があるという。だが、この剣とて常に磨いておかないと切れ味が悪くなると言っている訳だ。ドキッ、とさせられる。この言葉が、日々つい怠けそうになる弱い心をビシッと戒める。「君ね、地金を平素から磨きなさい。それが肝要だ」と、事あるごとに師に言われたものだ。

もう一つは「無畏」と書いて、「むい」と読ませる。この言葉が、いろんな困難に直面した時、僕に大きな勇気を与え続けてくれた。「君、決して畏(おそ)るる無かれ」と。今風に言えば、「自分が信じるものがあれば、何も恐れず、まっ直ぐに思った通りのことをおやりなさい」と。昨年、京都・清水寺の森清範老師にこの言葉を大書していただいた。今は、拙宅の狭い廊下の壁に悠然と額が掛かっている。

余談になるが、第32代アメリカ大統領フランクリン・ルーズベルトも同様のことを言っている。「The only thing we have to fear is fear itself.(我々が恐れねばならぬ唯一のものは、恐怖心そのものである)」と。

 

 今日一日を始めとし、終わりとする

今年、僕は50歳になると言った。学生時代の友人が、当時から会う度口癖のように言っていたことを、この歳になって思い出す。ちなみに、その彼は数年前にサラリーマンを辞めて起業した。今、大成功を収めている。

「譲治(僕の名前)さぁ、人生50年、たかだか2万日だぜ。やることやんなきゃ、俺たちの一生、あっというまに終わっちまうぜ!」

江戸時代の臨済宗の傑僧、正受老人曰く「一大事と申すは、今日(こんにち)只今の心也(なり)」と。僕なりの解説が許されるなら、「今日一日を始めとし、終わりとする」となる。だから、「今日」が大切なんだ。もう戻らない昨日の過ちを悔い、未だ来ない明日の夢に溺れて、今日を疎(おろそ)かにして翌日あることなし、だ。これまでの50年は今日以後のための準備だと思うようにしたい。つまり、これからだということ。

昨年末、拙宅に一つの小包が届いた。送り主の欄をよく見ると、元首相のお名前が直筆で書かれていた。封を開け、中のそれを手に取った時の感激が今も忘れられない。それというのは、サミュエル・ウルマンの「青春(原題:YOUTH)」の詩を大きな色紙一面に書いて下さったものだった。

ご存知の方も多いだろうが、「青春とは人生の或る期間を言うのではなく、こころの様相を言うのだ。(中略)年を重ねただけで人は老いない。理想を失うときに始めて老いがくる」という感動的な書き出しの詩である。

元首相は、ある書家から贈られたその額を、総理官邸執務室にずっと掛けていたという。近く僕が節目の歳を迎えるので、「北野君、若い時の優れた想像力、逞(たくま)しい意思、情熱、冒険心を決してこれからも無くすことのないように、ますます精進しなさい」と激励のメッセージを「書」にしたためて下さったのだ。ありがたい、心の底からそう思った。

今日これから、僕らの人生が動きだす。

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ダイヤモンド オンライン 2012.10. 2 /グーグルに勝利した男(3)

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